みなさん、こんにちは。行政書士なかむた法務事務所代表の中牟田です。

 行政書士の業務は、行政書士法(第1条の2)により、官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類を作成することされています。行政書士が扱うことのできる書類の種類はとても多く具体的に挙げるとキリがありませんが、一括りでまとめると、行政書士は「法律文書」を作成することが仕事だと言えると思います。

 この「法律文書」は、依頼者と行政の間をつなぐ文書であり、依頼者が望む法律上の利益の獲得を実現するための文書という意味です。遺言書や契約書のように通常は行政が関与しない文書もありますが、法律上認められる何らかの権利等を得ることが目的であるという意味では「法律文書」だと言えるでしょう。

 法律文書である以上は、法律の世界で用いられている法律(法令)用語を正しく使ったものでなくてはなりません。なぜかと言えば、契約書の場合、もし当事者間で紛争が生じ裁判で決着をつける事態となった場合、その契約書は裁判の証拠として扱われ、裁判官によって契約書に記された文章が法的にどのような効果を持っているかが審査されることになります。

 つまり、もし裁判での争いになった場合でも、契約当事者の主張が契約書の文章から認められるものでなければならず、そのためには、法律文書のルールに則り、用語を正しく使用した文書でなければならないことになります。

 訴訟を扱う弁護士の先生方は、依頼者の勝訴のために、裁判所に提出する「準備書面」という法律文書を作成します。行政書士は裁判に関係するような業務を行なうことはできませんが、“身近な街の法律家”と名乗る以上は、行政書士も法律用語を正確に使いこなし正しい法律文書を作成する能力が必須ということになるでしょう。

 さまざまな業種や目的の書類作成を業務とする行政書士ですが、根幹は、法律文書家であるのではないかと思います。しかし、法律文書作成の力はそうそう簡単に身に付くものではなく、正しい法律文書を数多く読み、それらを手本に、文書の1行、1文を推敲し訓練していかなければなりません。