【許認可】「申請」と「届出」の違いをご存知ですか?

【みなさん、こんにちは。「アイデア光る事業法務エキスパート」行政書士の中牟田です。
 建設業や宅建業、飲食店、理容・美容業、整骨院、リサイクル店(古物商)などの事業を始めるには県や保健所、警察などに事前に書類を提出しなければなりません。

 これが、行政書士の専管業務のひとつとして、お客様に代わって行っている「許認可業務」と呼ばれるものです。

「許認可」ですが大きく「申請」と「届出」という二つの種類がありますが、この二つの違いをご存知でしょうか?

 どちらも同じことを意味しているように思われるかもしれませんが、実は大きく違います。

「申請」と「届出」がどう違うのか、『行政手続法』という法律で定められています。

『行政手続法』という法律は、行政書士にとっても極めて重要な法律です。

この法律において、「申請」とは、

法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。

と定義されています。

 ビジネスを始めたいと思う人が、行政庁(都道府県知事など)に対して、許可・認可・免許(呼び方が違いますが、同じ意味だと考えてください)を求めます。その求めに対して、行政庁側が求めを認めるかどうかを審査することとされているもの。これが「申請」です。

対して、「届出」とは、同じく『行政手続法』において

行政庁に対し一定の事項の通知をする行為であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているものをいう。(カッコ書きの部分は省略)

と定義されています。

 こちらは、一定の事項の通知をすることが義務付けられているだけで、「申請」のように、「行政庁が諾否の応答をすべきこと」といったことは書かれていません。

つまり、「申請」と「届出」の違いは、

〇「申請」…求めに対して行政庁が審査し諾否の応答がある。

〇「届出」…決められた事項を通知するだけ。

ということになります。

 「申請」の場合、許可や免許が100%下りるわけではなく、審査によって拒否される場合もあるということになります。また、審査が行われる結果が出るまで何日間待たなければなりません(これを「標準処理期間」と呼びます。)。

 「届出」の場合も、必要とされる事項を不足なくちゃんと提出する必要があります。情報が不足していると修正や再提出が求められます。

 業種によって、必要書類を提出すれば必ず営業の許可や免許がもらえる、とは必ずしも限らないということを知っておく必要があります。

方法 主な許認可の種類
申請 建設業
宅地建物取引業
産業廃棄物収集運搬業
古物商業

風俗営業
旅館業営業
飲食店等営業
倉庫業
一般貨物自動車運送事業

理容所開設・美容所開設
クリーニング業
公衆浴場
薬局
ドローン(マルチコプター)飛行
届出 あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師施術所開設
民泊(住宅宿泊事業、住宅宿泊管理業、住宅宿泊仲介業)

※上記以外にも許認可が必要な業種があるため、開業するために行政庁への手続きが必要なのか、必要な場合にどのような手続きをしなければならないのか、確認する必要があります。