【著作権法】改正著作権法が成立。許諾無しで著作物の利用できる範囲が拡大

みなさん、こんにちは。「アイデア光る事業法務エキスパート」行政書士の中牟田です。

 改正著作権法(著作権法の一部を改正する法律)が成立し、一部を除き来年(平成30年)1月1日より施行されることになりました。

 デジタル技術やネットワーク技術の発展に伴って著作物(書籍、記事、音楽、美術、写真、映像など)の新しい利用ニーズが生まれています。そのような著作物を取り巻く状況の変化に対応し、著作権者の許諾を必要とする範囲を見直し、著作物がより円滑に利用できるようにすることを目的に、今回の改正が行われました。

【改正の趣旨】(文部科学省ホームページより)
デジタル・ネットワーク技術の進展により、新たに生まれる様々な著作物の利用ニーズに的確に対応するため、著作権者の許諾を受ける必要がある行為の範囲を見直し、情報関連産業、教育、障害者、美術館等におけるアーカイブの利活用に係る著作物の利用をより円滑に行えるようにする。

【改正のポイント】(文部科学省ホームページより)

(1)デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備

 著作物の市場に悪影響を及ぼさないビッグデータを活用したサービス等のための著作物の利用について、(著作権者の)許諾がなくても行えるようにする。
所在検索サービス(例:書籍情報の検索)
著作物の所在(書籍に関する各種情報)を検索し、その結果と共に著作物の一部分を表示する。
情報解析サービス(例:論文の盗用の検証)
大量の論文データを収集し、学生の論文と照合して盗用がないかチェックし、盗用箇所の原典の一部分を表示する。

(2)教育の情報化に対応した権利制限規定等の整備

 ICTの活用により教育の質の向上等を図るため、学校等の授業や予習・復習用に、教師が他人の著作物を用いて作成した教材をネットワークを通じて生徒の端末に送信する行為等について、許諾なく行えるようにする。
【現在】利用の都度、個々の権利者の許諾とライセンス料の支払が必要
【改正後】ワンストップの補償金支払のみ(権利者の許諾不要)
※(2)については、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日に施行。

(3)障害者の情報アクセス機会の充実に係る権利制限規定の整備

 現在、視覚障害者等が対象となっている規定を見直し、肢体不自由等により書籍を持てない者のために録音図書の作成等を許諾なく行えるようにする。
【現在】視覚障害者や発達障害等で著作物を視覚的に認識できない者が対象
【改正後】肢体不自由等を含め、障害によって書籍を読むことが困難な者が広く対象

(4)アーカイブの利活用促進に関する権利制限規定の整備等

 美術館等の展示作品の解説・紹介用資料をデジタル方式で作成し、タブレット端末等で閲覧可能にすること等を許諾なく行えるようにする。
【現在】小冊子(紙媒体)への掲載は許諾不要。タブレット等(デジタル媒体)での利用は許諾が必要。
【改正後】小冊子、タブレット等のいずれも場合も許諾不要。

 国及び地方公共団体等が裁定制度を利用する際、補償金の供託を不要とする。
【現在】裁定制度により著作物等を利用する場合、事前に補償金の供託が必要
【改正後】国及び地方公共団体等については、補償金の供託は不要(権利者が現れた後に補償金を支払う)

以上が、今回の著作権法改正のポイントとなります。

 作家やアーティストの方などをサポートし、創作物(著作物)の権利と利益を守ることも行政書士の重要な役目です。

 当事務所は「知的財産管理技能士」でもあり、お客さまの知的財産権のサポートにも力を入れています。

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