今回の個人情報保護法改正の目的のひとつが、現代における多様な「個人情報」の活用状況を踏まえ、法律で保護すべき「個人情報」を明確にすることでした。
コンピュータや識別技術の発達によって、本人を判断するための様々な手法が登場し利用されています。銀行ATMやパソコン、スマートフォンを利用する際に指紋や顔、手指の静脈等を利用した生体認証が既に一般化しています。このような身体の一部の特徴を読み取り、コンピュータによって変換され符号化も情報も「個人情報」に該当するとされ、新しい個人情報保護法において「個人識別情報」として条文で定義されることになりました。
「個人識別情報」について、第2条で次の様に定められています。
第2条(第2項)
2 この法律において「個人識別符号」とは、次の各号のいずれかに該当する文字、番号、記号その他の符号のうち、政令で定めるものをいう。
(1) 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの
(2) 個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号であって、その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの
1号又は2号のどちらかに該当し、政令や規則によって個別に定められるものとなります。
1号にて定められているのが個人の身体に関係した情報で、具体的には次のようなものとなっています。
●DNA ●顔(骨格、皮膚の色、目・鼻・口の形状など) ●虹彩 ●声紋 ●歩行の態様(歩行の際の姿勢や動き) ●手指の静脈 ●指紋・掌紋
2号で定められているのが、様々な公的サービスや書類において個人ごとに割り振られている符号で、具体的には次のような公的番号です。
●免許証番号 ●パスポート(旅券)番号 ●基礎年金番号 ●住民票コード ●マイナンバー ●各種保険証番号(雇用保険等)
以上のような「個人識別情報」を取得した場合、氏名や住所といった従来の個人情報と同様に法律に則った取扱いが求められることになります。