【食品衛生法】改正食品衛生法が成立。食品に関するすべての事業者にHACCP導入を義務化

 みなさん、こんにちは。「アイデア光る事業法務エキスパート」行政書士の中牟田です。

 6月7日に改正食品衛生法が可決成立しました。

 今回の改正は食品の安全に関する法規制が大きく変えるもので、食品の製造・加工業者はもちろんのこと、小規模や個人経営の飲食店なども対象となります。

 改正の大きなポイントとなるのは次のようなものです。

1.HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の義務化

HACCP(Hazrd Analysis and Critical Control Point:危害分析と重要管理点監視)とは

食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようする衛生管理の手法のこと。
厚生労働省HPより

 HACCPとは要約すると「食中毒や異物混入等を防止し食品の安全を確保するための衛生管理の手法」です。

 食品製造・加工や飲食店等の事業者が、その製造・加工・調理の工程における安全確保・衛生管理のための計画を作成し、その作成した計画通りに実施し、さらに実施した結果を記録することが求められます。

 HACCPは、欧米各国を中心に導入が進んでいる国際標準(グローバルスタンダード)であり、日本でも義務化されることになりました。

 改正食品衛生法の施行後は、規模に関係なく個人経営の小さな飲食店においてもHACCPに基づいた衛生管理と書類作成が義務付けられることになります。

2.調理器具・容器包装に関する規制の変更

 食品の製造に使用する調理器具・容器包装については、法令に定められ安全性を評価された素材(物質)のものしか使用できなくなります。

 現行の法令では、原則使用を認めた上で例外的に使用を制限する素材(物質)を定めるネガティブリスト方式の規制手法が用いられています。

 改正法では、原則使用を禁止した上で例外的に使用できる素材(物質)を定めるポジティブリスト方式の規制に変わります。

3.営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設

 飲食店や食品製造業を始める場合は、食品衛生法施行令で定められている34の業種に応じた営業許可を得なければなりません。

 今回の改正では、この34の許可業種を見直し、食中毒の発生リスクやぎ営業実態に応じた新しい許可制度に変わります。

 また、現行の営業許可業種以外の事業者については許可よりも簡便な届出制になります。

 今後、厚生労働省から改正食品衛生法を踏まえた施行令が出され、さらに都道府県ごとの条例が制定されていきます。

 当事務所では、新しい食品衛生法に関連した情報を随時提供していきます。