個人事業よりも会社組織の方がメリットが大きい。
独立起業し事業を始めようとする際、個人事業者として始めるか、それとも会社組織にして始めるか、大きく2つの選択があります。しかし、お客さまや取引先からの信用の度合いや将来的な事業拡大などの点を考えると、個人事業者よりも会社にした方が有利だと言えるでしょう。
■社会的信用力が上がる。取引・融資・雇用の面で有利。
会社を設立する際に登記をしなければなりません。取引相手等が登記内容を確認することができますので、対外的な信用力が高くなり、取引をスムーズに進められるようになることが期待できます。将来的な事業拡大には会社組織である方が有利だと言えます。
会社の方が金融機関等からの融資も受けやすく、株式会社であれば株式発行で出資者を募り資金を調達すること手段もあります。
さらに、個人事業者の場合よりも信頼感を与えるため、従業員もより採用しやすくなると言えます。
■会社の方が節税効果が高く、税法上のメリットも大きい。
事業を個人事業者として行う場合と比べて、一般的に利益が多くなるほど、会社組織である方が税金面では有利になります。個人事業であれば所得金額(売上-経費)に応じて細かく所得税が課され、所得が多いほど税率が上がります(累進課税)。対して中小企業の場合だと法人税率は2段階(課税所得800万円以下で15%、800万円超で23.4%)しかなく、利益が多くなった際の税額は少なくて済む構造になっています。
また、事業が赤字の場合、青色申告をしている個人事業については赤字額(青色欠損金)を3年間繰り越すことができます。しかし、会社であれば欠損金を9年間繰り越すことができ、より節税できます。
しかし、デメリットもあります。会社は赤字の場合でも、法人住民税(都道府県民税、市町村民税)の均等割(最低年間7万円)の負担がありますので注意が必要です。
(※課税所得800万円超の中小企業については、平成30年4月1日以降に開始する事業年度からは法人税率が23.2%になります。課税所得800万円以下については変わりません。)
■事業の承継に便利。
個人事業者として事業主が個人名義で許認可を取得し営業を行っている場合、その事業主が死亡した際に相続人が事業を引き継ぐことはほとんどできません。新しく許認可を申請しなければなりません。
あらかじめ会社名義で許認可を取得しておくことで、死亡により経営者が変わった場合でも、変更手続き等で済み、容易に事業を継承していくことができます。
■事業目的の追加の際、定款変更が必要。
会社組織にした場合のデメリットもあります。会社は定款記載の事業目的の範囲内でしか事業を行うことができません(事業目的の範囲内での権利能力しか持たない)。したがって、定款に記載していない事業を新たに始める場合には定款を変更しなければなりません。会社名(商号)を変える場合も同様に定款の変更が必要です。
■税務処理や申告のため税理士への依頼が必要。
もうひとつ、会社組織にした場合のデメリットとして税務処理の複雑さがあります。個人事業の青色申告よりも細かい税務処理が要求されます。このような税務処理や税務署への申告を税理士さんに依頼しなければならず、そのための費用がかかってきます。
「株式会社」と「合同会社(日本版LLC)」の特徴・メリット。
会社の組織形態には、主に「株式会社」と「合同会社(日本版LLC)」という2つのタイプあります。それぞれ特徴・メリットがありますので、会社をつくる際には、どちらの組織形態の方が良いか、将来のことを考慮しながら検討することが大切です。
■株式会社
「株式会社」は一般的に最も馴染みのある会社形態です。会社法(平成18年より施行)では最低資本金規制がなく、役員も取締役1名以上いれば良いので、容易に「株式会社」を設立することができます。
「株式会社」は一般的に社会的認知度や信用度が高いので、事務所の賃貸や従業員の採用の面などで個人事業よりも有利だと言えるでしょう。また、金融機関等からの融資だけでなく自社株式の発行による資金調達も可能となります。
■合同会社(日本版LLC)
会社法では、新しい会社形態として「合同会社(日本版LLC)」の設立が可能となりました(合同会社の他に持分会社形態として合資会社、合名会社があります)。LLCとは”Limited Liability Company”の略で日本語訳では「有限責任会社」という意味で、合同会社は有限責任社員のみで構成されます。
「合同会社(日本版LLC)」は、「株式会社の特徴である出資者の有限責任制」と「合同会社の会社運営の自由度の高さ」という2つのメリットを備えています。
「合同会社」と名前だけ聞くと小さくて古い会社のようなイメージがあるかもしれませんが、「アップルジャパン」、「ユニバーサル・ミュージック」、「西友」といった有名な会社も実は”合同会社”の形態を採用していて、注目されている新しいタイプの会社形態だと言えます。
会社タイプ | 株式会社 | 合同会社(日本版LLC) |
イメージ | 一般によく知られた、最も馴染みのある会社形態。 組織がしっかりしていると認知されている。 |
新しい会社形態として注目されている。近年、設立件数は増えている。しかし、一般的にはまだ馴染みが薄い。 |
強み | 取締役会や監査役の設置が可能。対外的・社会的な信用力が高い。 | コンパクトな経営体制で迅速な決断が可能。組織の運営コストも低く抑えることができる。 |
出資と経営 | 分離 | 同一 |
設立に必要な最低人数 | 1人 | 1人 |
最低資本金 | 1円以上 |
1円以上 |
役員 | 取締役1人以上 (監査役は任意) |
役員という概念がない。 業務執行は社員が行う。 |
出資者の責任 | 有限責任 (自分が出資した額を限度に責任を負う。責任財産は会社財産に限られる。) |
有限責任 (自分が出資した額を限度に責任を負う。責任財産は会社財産に限られる。) |
意思決定 | 株主総会 (取締役会を設置した場合は基本的に取締役会) |
原則として、出資者である社員全員が自ら会社業務を執行する。 |
決算公告 | 必要 | 不要 |
決算書類の作成 | 必要 | 必要 |
資金調達 | 株式発行による広範な資金調達が可能。 | 株式会社と比べ資金調達範囲は狭い。 |
設立費用 (定款認証、登録免許税等) |
約25万円 | 約10万円 |
設立時の定款認証 | 必要 | 不要 |
向いているビジネス | 事業開始時に設備投資等で大きな資金が必要。 近い将来に大きな事業展開を予定している。 |
大きな資本を必要とせず、社員個々の持つアイデアやスキル、ノウハウを活かした専門的なサービス事業。 |
株式会社設立の流れ
株式会社を例にした最初のご相談から正式な会社設立までの基本的な流れは以下のようなります。
ヒアリング内容に基づいた定款案の作成および確認・修正、お客様との書類のやり取りなどにかかる日数を含めると、正式なご依頼(③)から登記申請に必要な書類のお渡し(⑨)まで約3週間はかかるとお考えください。
※この「株式会社設立の流れ」は標準的な参考例です。お客様のご要望等の事情により作業の順番や日数が変わっていきます。
お客様にやっていただくこと |
〇お客様(発起人)の実印と印鑑証明書の用意 〇他の発起人全員分の実印と印鑑証明書の用意 〇会社(代表者)の印鑑の用意 〇委任状、定款、登記申請書類への押印(実印) 〇発起人の個人銀行口座への出資金の振り込み |
当事務所が行う作業 | 〇お客様とのヒアリング 〇商号(会社名)の事前調査 〇提案案の作成および修正 〇公証役場との定款案の事前確認 〇電子定款のオンライン申請 〇登記申請書類一式の準備 |
「株式会社設立サクセスサポート」標準費用
内容 | 費用 |
当事務所標準報酬額※ |
108,000円(税込) |
定款認証費用(公証役場への支払い) | 50,000円 |
収入印紙 ※当事務所は電子定款(電子証明書)に対応しているため、電子定款にすることにより印紙代40,000円は不要。 |
0円 |
定款謄本手数料(2通) | 約2,000円 |
サクセスサポート合計 | 約138,400円 |
<その他手続きにかかる費用>
〇登録免許税(法務局への登記申請時に支払う):150,000円
〇登記事項証明書:600円(1通、窓口取得)×必要枚数分
〇会社の印鑑証明書:400円(1通)×必要枚数
〇司法書士への報酬額(法務局への設立登記申請を依頼する場合。お客様ご自身が行う場合は不要)
※千葉県および東京都以外の地域では別途日当・交通費をご請求させていただく場合があります。事前にご相談ください。